ネットの広告費とマスコミ4媒体広告費を比べる事に意味が無い

毎回こういうのを見るたびに、ネットの広告費とマスコミ4媒体広告費を比べる事になんの意味があるのか疑問に思う。


日本の広告費は6兆6926億円で5年ぶりに減少(前年比4.7%減)。媒体別では新聞広告費(同12.5%減の8276億円)が大きく減少し、テレビ広告費(同7.6%減の1兆9092億円)も振るわなかった。新聞、テレビ、雑誌、ラジオのマスコミ4媒体広告費は4年連続して前年を下回った。

 一方、インターネット広告費は前年比16.3%増の6983億円と続伸し、総広告費の10.4%を占めた。2009年には初めてインターネット広告費が新聞を上回ると見られる。
ネット広告続伸、総広告費は5年ぶりに減少--電通発表「2008年日本の広告費」

なにが疑問なのかっていうと、「ネット」と「マスコミ4媒体」はレイヤーが違うんじゃないの?っていう事。


つまり、ネットは「配信経路」なはずなのに、なんで「コンテンツの形態」と比較してるんだろう、という疑問。

「ネット」を比べるなら「電波」とか「紙」とかを経由して配信されてる広告費の総額と比べないと変じゃない?
媒体を比べるなら、サイトの形態(動画共有サイトとかニュースサイトとか)と比べないと変じゃない?


だって、今の「マスコミ4媒体」のコンテンツ(動画、音声、文字情報)は「ネット」を通しても配信できるはずで、
現に各メディア躍起になってネット配信で収益が上げられるモデルを模索してる時だと思うんだけど、
その配信事業が広告で収益を出すビジネスモデルだとしたら、
その事業で上がった収益も「ネット」の広告費になるの?
そしたらそりゃこれからもネットの広告費は伸び続けるよ。
今後「マスコミ4媒体」が徐々に「ネット」に移住してくるだろうから、
今の配信経路より広告費が安くなってそれぞれの媒体の収益は減ったとしても「ネット」の広告費は増える。


だから、比べる意味のよくわからない「媒体別の総広告費」を見るだけじゃなくて、
「各配信経路の同形態のコンテンツの総広告費」の推移も見てみないと、
何が起きてるのか正確に理解できないんじゃないかしら。そうでもないのかしら。
それともこの比較は「マスコミ4媒体はノーフューチャーですよ」「ネットすごいからネットに広告だしましょうよ」って言いやすくするためのものなのかな。
教えてエロい人!


うーむ。よくわかんないからもういいや、寝る!嘘!まだ寝ない!<2009.2.26 追記>

id:Chikirinさんのエントリでなんとなくわかりました。


たとえば今はインターネット広告とモバイル広告は総額で表示されていますが、ほどなくこの二つは分離されるのではないでしょうか。ネットよりモバイルが大きくなることだって考えられます。来年からこの二つを別々に集計すれば「ネットが新聞を抜く日」を1〜2年遅らせることも可能でしょう。

また「けーたい」と「スマートフォン」や「iPhone等のブラウザフォン?」が別カテゴリーになっている可能性もあるでしょう。今はない全く新しい概念のハードが広告メディアとして出てきていても不思議ではないです。

また、現在の分類を混ぜたような形態、テレビなのかネットなのか区分しにくいような形態、がでてくることを予想する人も多いでしょう。

というわけで将来予測という意味では、先日のような「現在のメディアが10年後にどうなるか」を推測するのもいいのですが、どちらかというと、その項目名である「メディアの種類、分類」がどうなるか?ということを想像するほうが楽しい気がします。
広告メディア 3つの楽しみな変化 - Chikirinの日記

区分自体が流動的なんですね。
総額がどうか、という事よりも、どういう分類をしてるかを見た方が面白い、という。なるほど。


それにしても意図的に区分を変更できるんだったら、
つくづくいったいこれは何のための集計で何のための発表なんだろうか、と思ってしまいます。


過去に『ニューメディアという項目自体が消えて、代わりに「衛星メディア関連広告」となっ』た事とか
『2007年には「フリーペーパー&フリーマガジン」というカテゴリーが初登場』した事とかから考えると、
やっぱりこれから売り出したい広告媒体に勢いがあるように見せるためのPRなのかしら、とも思います。
最近よく目にする「広告が取れないなら広告の広告出せば良いじゃん」という意見がありますが、意外と昔からやってんじゃん、という話かも。


「各配信経路の同形態のコンテンツの総広告費」の推移を見てみたいなぁ。